だん)” の例文
此の談は今の人には、ただ是れ無茶苦茶のだんと聞えるまでであろう。又これを理解のゆくように語りわけることも、敢てするに当るまい。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
土地によって細部には少しずつの潤色じゅんしょくはあるが、大体の筋は互いによく似ていて、つまりは一種の異郷訪問だんの、思い切って童話化せられたものだった。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
夏も末方のちと曇ってしめやかな晩方の事、童男こどもは遊びに出てしまう、婦人と自分と妻と雑談しているうちに、ふと婦人がさる悲酸の事実だんを話し出された。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
髷物に、現代物に、そして少年少女小説に、探偵小説に、冒険小説に、伝奇だんに、大衆文芸は愈々、広汎に、愈々深く、読者大衆の中に氾濫して行きつつある。
大衆文芸作法 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
彼は大きな手柄をたてた。——このところで彼は、祖父の武勇だんから取って来たいくつかのくだりを自分の話に織り込んだ。——彼女はその間に、悶々もんもんのあまりに病気になった。
けれども彼の頭の中の隙間すきまが、瓦斯ガスに似た冒険だん膨脹ぼうちょうした奥に、彼は人間としての森本の面影おもかげを、夢現ゆめうつつのごとく見る事を得た。そうして同じく人間としての彼に、知識以外の同情と反感を与えた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
第一に今いう動物報恩だんが流行して、相手の動物とはすでに事件の起こる前から、交渉があったということにすれば、そう遠方までこの世界を引き離すことができない。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
此の頃の雑談ぞうだんを書記したたぐい書籍しょじゃくにも、我が知れる限りでは右衛門為基の恋愛だんは見当らず、又果して恋物語などが有ったのか否かも不明であるが、為基と右衛門との間に
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
幻詭猥雑げんきわいざつの談に、干戈かんか弓馬の事をはさみ、慷慨こうがい節義のだんに、神仙縹緲しんせんひょうびょうしゅまじゆ。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)