はかり)” の例文
殺すやうなる事は有間敷あるまじけれ共皮想うへから見えぬが人心なれば若や田原町なる夫婦の者の言如く成んもはかり難し先お菊に屹度きつとしたる番人を付置て此始末を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
なお、仔細しさいをきいてみると、張横は得意の水戦を用いて、敵の攪乱かくらんに出かけ、かえって敵のはかりにおちて捕われたもの。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「では、直ちに、韓暹かんせんに行き会い、初めに其方が申した通り、わが為に、最善のはかりごとを施す気か、どうだ?」
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わしははかりの上策を思うのじゃ。——最上の策は、秀吉の登城を待って、一室に監禁し、罪状を云いかぶせて、詰腹を切らせる。……これにく良計はない。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そうか。……そちのいう意味は、中の京極曲輪だけを攻めおとし、そのうえではかりをなせと申すわけだの」
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いずれにしろ、反尊氏のがわは、こうして機密なはかりを“皇后ノ”の期間にも着々すすめ、やがて数日の後には、宮が参内して、父皇後醍醐へ直接そのことをすすめていた。
はかりは密なるをもってよしとする。そこへ迫るまでは、味方にも告げぬつもり。しく思うなよ
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
申す。——ここの岸より何気なく一見しただけでは、まだ二じゅうどて縄取内なわどりうちの土盛り、それと石垣が半ばぐらいしか出来上っておらぬように見えるが、あれは、敵のはかりと申すもの
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小国ながら三河武士には一すじの骨があり、織田はこのところやや時を得て、はかり多く、うかと、図に乗って、深入りせば、足を抜くことのできないおそれが多分にあるやと考えられます
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
やはり、めんみつなはかりをたてていた足利方の潜兵が、太田ノ判官を出しぬいて、御所の裏門から、本院、新院のおふた方を奪取し去ったものだろう。——それには絶好な霧のふかい宵でもあった。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あるいは、敵のはかりだろうか。引きよせてつつむ法もなくはない。しかし、それなら高氏に、それらしい予見があろう。こう緩々かんかんと、無人のきょうでも行くようなのは、何とも怪しむべきかぎりであった。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)