)” の例文
また組んずぐれつの肉闘にくとうや、一団の武者と一団の武者との陣列的じんれつてき搏撃はくげきなど、いまやここの終局は悽愴せいそうきわまる屍山血河しざんけつがを描いていた。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
露国の監視船に追われて、スピードをかけると、(そんな時は何度もあった)船のどの部分もメリメリ鳴って、今にもその一つ、一つがバラバラにぐれそうだった。
蟹工船 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
そしてその繭は切れ/″\になつた糸の為めにもうぐす資格がなく、その値うちが下つてしまふのだ。此の予防をしてしまへば、そのあとはゆつくりと出来るのだ。
感情と理窟のもつった所をごしながら前へ進む事のできなかった彼らは、どこまでもうねうね歩いた。局所に触るようなまた触らないような双方の態度が、心のうちで双方を焦烈じれったくした。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
捜査の手口は、実に此の自動車番号からぐれて行く——。
アリゾナの女虎 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
一つぐれれば、あとはわけはない。
そして一同、はかまを割って、一緒に胡坐あぐらをくんで坐り直すと、銘々がたずさえて来たらしい一藁束わらたばぐして、馬のくつを作り始めたのであった。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
清麿は、あらゆる苦痛が、体じゅうからぐれるような心地した。然し、意識はその体を、もう動かそうともしない。
山浦清麿 (新字新仮名) / 吉川英治(著)