しめ)” の例文
孝孺のちに至りて此詩を録して人にしめすの時、書して曰く、前輩せんぱい後学こうがくつとめしむ、惓惓けんけんこころひとり文辞のみにらず、望むらくはあいともに之を勉めんと。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
およそ一派の学には一派の社あり、その社に入てその説を求めざれば、新規発明を得ることあたわず。今その名の相反する理を述て、ここにその大略をしめす。
化学改革の大略 (新字新仮名) / 清水卯三郎(著)
我養家は大藤村の中萩原なかはぎわらとて、見わたす限りは天目山てんもくざん大菩薩峠だいぼさつとうげの山々峰々垣をつくりて、西南にそびゆる白妙しろたえの富士のはをしみて面かげをしめさねども、冬の雪おろしは遠慮なく身をきる寒さ
樋口一葉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
是を以て賢をたふとぶ、宗祀嚴父す、是を以て鬼をたふとぶ、四時に順つて行ふ、是を以て命を非とす、孝を以て天下にしめす、是を以て同を上ぶ、と云つてゐるのは
墨子 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
路幅みちはゞはあり、屈折は婉曲であり、樹蔭は深いし、左手の帚川の溪は眼に快いし、右手の山は高し、時々小瀑布を景物にしめすし、山嵐溪風いづれにしても人のはだへに清新其物の氣味を感ぜしめる。
華厳滝 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
たゞ張る氣を以て藝術に從事する者は、時に澄む氣の閃光を示し、而して其の藝術の進境を示すが、凝る氣で藝術に從事するものは決して澄む氣のかたちしめさぬといふことだけをこゝに言へば足りる。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)