規定さだめ)” の例文
で、じっと隙かして見たが灯火のない宝蔵の内はいわゆる烏羽玉うばたまの闇であって、物の文色あやいろも解らない。信玄は背後を振り返って見た。規定さだめの人数に欠けた者もない。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
花馬車競技の会長たるの名誉をも与えようという華々しき規定さだめゆえ、もとより金銭かねに糸目をつけぬ封侯富豪、我れこそは今年の一等賞を獲得して、金銭に換え難き光栄をいだき取ろうと
頃日このごろく——當時たうじ唯一ゆいつ交通機關かうつうきくわん江戸えど三度さんどとなへた加賀藩かがはん飛脚ひきやく規定さだめは、高岡たかをか富山とやまとまり親不知おやしらず五智ごち高田たかだ長野ながの碓氷峠うすひたうげえて、松井田まつゐだ高崎たかさき江戸えど板橋いたばしまで下街道しもかいだう
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
貴嬢との友誼いうぎの上に何の障礙しやうがいをも見なかつたと思ふ、是れは規定さだめの祈祷会や晩餐会にまさりて、天父の嘉納まします所では無いでせうか、是れは神の殿みやがエルサレムでも無く、羅馬ラウマでもなく
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
で、規定さだめの時刻が来るとやおら信玄は立ち上がった。楯無しの鎧は箱に入れられ大切に輿こしに乗せられた。四人の武士がになうのである。それも甲斐撫かいなでの武士ではない。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)