薄曇うすぐも)” の例文
先刻さつきまであをかつたそらも、何時いつとはなし一めん薄曇うすぐもつて、其処そこらがきふ息苦いきぐるしく、頭脳あたまは一さうおしつけられるやうになる。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
生憎あいにく野末の空少し薄曇うすぐもりして、筑波も野州上州の山も近い秩父ちちぶの山も東京の影も今日は見えぬが
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
其処そこで、どまって、ちょっと気をけたが、もうんでひっそりする。——秋の彼岸過ぎ三時さがりの、西日が薄曇うすぐもった時であった。この秋の空ながら、まだ降りそうではない。
海の使者 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
薄曇うすぐもる日はどんみりとしもをれて 乙州おとくに
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
薄曇うすぐも不斷ふだんいき
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
朝は晴、やがて薄曇うすぐもって寒かったが、正午頃しょうごころからまた日が出てあたたかになった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)