蒔繪師まきゑし)” の例文
新字:蒔絵師
友造ともざう袖崎そでさきうちおんがあるとつたのもほかではない、けんきこえた蒔繪師まきゑしだつた、かれちゝとしつかへて、友造ともざう一廉ひとかどうで出來でき職人しよくにんであつたので。
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
もよほ講中かうちうの内にて紺屋こんや五郎兵衞蒔繪師まきゑし三右衞門米屋六兵衞呉服屋ごふくや又兵衞の四にんを跡へ止め別段べつだん酒肴しゆかう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「もう一人、萬兵衞のをさな友達で、今は蒔繪師まきゑしの名人と言はれる、尾張町の藤吉の娘、お藤が居る。これは並大抵でない綺麗な娘だから、氣の多い萬兵衞がちよつかいを出して居たかも知れない」
刀自は壽阿彌のをひの事をも少し知つてゐる。姪は五郎作の妹の子であつた。しかし恨むらくは其名を逸した。刀自の記憶してゐるのは蒔繪師まきゑしとしての姪の號で、それはすゐさいであつたさうである。
寿阿弥の手紙 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
またひやりとした、旗野はたのは、禮吉れいきちふ、美術學校びじゆつがくかう出身しゆつしん蒔繪師まきゑしである。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
父とをさな友達なのに、父が江戸一番の蒔繪師まきゑしと言はれ、後の世まで名が殘るほどの仕事をして居るのをねたみ、自分はこんなに身上が出來て居るのに、長い/\間たくららんで、父をひどい目に逢はせました