いちじるし)” の例文
加ふるに印刷業の発達は一般の学問にいちじるしき進歩を与へたるが如く、俳諧もまたこれによりて都鄙遠境に波及し、たちま未曾有みぞうの盛運に達するを得たり。
古池の句の弁 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
茶をすゝむる妻の小皺こじわいちじるしき顔をテカ/\と磨きて、いまはしき迄艶装わかづくりせる姿をジロリ/\とながめつゝ「ぢやア、お加女かめ、つまりどうするツて云ふんだ、梅ののぞみは」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
牡丹ぼたん深見草ふかみぐさとの区別を申さんに、生らには深見草といふよりも牡丹といふ方が牡丹の幻影早くいちじるしく現れ申候。
歌よみに与ふる書 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
牡丹ぼたん深見草ふかみぐさとの区別を申さんにせいらには深見草というよりも牡丹という方が牡丹の幻影早くいちじるしく現れ申候。
歌よみに与ふる書 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
『新古今』は客観的叙述においていちじるしく進歩しこの集の特色を成ししも、以後再び退歩して徳川時代に及ぶ。
曙覧の歌 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
これに反して四季の歌少く、ぞうの歌のいちじるしく多きを『万葉集』及び『曙覧集』とす。この二集の他に秀でたる所以ゆえんなり。けだし四季の歌は多く題詠にして雑の歌は多く実際よりづ。
曙覧の歌 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
◎我に二けいの田あらば、麦青く風暖き処、退いて少年を教育するもまた面白からんと思ふ。教育には智育、技育、徳育、美育、気育、体育あり。その中にて最大切にしてまた最効力いちじるしきは智育なり。
病牀譫語 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
ただ関東の方いちじるしく勝れりと思ふもの二あり。いわく醤油。曰く味噌。
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)