罪悪ざいあく)” の例文
旧字:罪惡
あまりの孤独、消しきれない罪悪ざいあく、迫りくる恐怖戦慄きょうふせんりつ、——その苦悶くもんのために気が変になりそうだ、恐ろしかった。
俘囚 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ひんすれば、その間に罪悪ざいあくが生じて世が乱れるが、めば、余裕よゆうを生じて人間同士の礼節れいせつあつくなり、風俗も良くなり、国民の幸福を招致しょうちすることになる。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
明るいところにまないごとく、花前のような生活には虚偽きょぎ罪悪ざいあくなどいうものの宿やどりようがない。大悟徹底だいごてっていというのがそれか。絶対的ぜったいてき安心あんしんというのがそれか。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
とおりあるきながらもそうおもわれまいと微笑びしょうしながらったり、知人しりびといでもすると、あおくなり、あかくなりして、あんな弱者共よわいものどもころすなどと、これほどにくむべき罪悪ざいあくいなど、っている。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
どんな幸福こうふくも、これほどの罪悪ざいあくにはつぐなわないとおもうよ。
太陽と星の下 (新字新仮名) / 小川未明(著)
なんだか罪悪ざいあくでもおかすやうながしたので。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
「それもそうだが、カロチ教授さえもきみをにくんでいたよ。きみが草木を切りたおすのが重い罪悪ざいあくだというんだ」
宇宙の迷子 (新字新仮名) / 海野十三(著)
赤鬼青鬼にひったてられて亡者もうじゃがこの鏡の前に立つと、亡者生前せいぜん罪悪ざいあくが一遍の映画となって映り出す。この大魔鏡だいまきょうこそは航時機タイムマシーンを併用して居る無線遠視器である。
十年後のラジオ界 (新字新仮名) / 海野十三佐野昌一(著)