緋房ひぶさ)” の例文
そのいでたちを見るに、緋房ひぶさのついた鉢兜はちかぶと鋳物綴いものつづりの鍍金ときんよろい、下には古物ながら蜀江しょっこうの袖をちらつかせ、半月形はんげつなりかわ靴をはいた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こればかりは本式らしい金モールと緋房ひぶさを飾った紫緞子むらさきどんすの寝台が置いてあって、女王様のお寝間ねまじみた黄絹きぎぬ帷帳とばりが、やはり金モールと緋房ずくめの四角い天蓋てんがいから
白菊 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
たれか似る鳴けようたへとあやさるる緋房ひぶさかごの美しき鳥
柳原燁子(白蓮) (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
とんがりぼう緋房ひぶさ伊達だてぢやない。
とんぼの眼玉 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
それを着て、白紫びゃくし縞脚絆しまきゃはんに、緋房ひぶさの垂れた黒の乾漆笠かんしつがさをかぶり、野太刀をっ込み、かしの一棒を手に、武松は
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
金砂子きんすなご覆輪ふくりんを取った螺鈿鞍らでんぐらに、燃ゆるような緋房ひぶさをかけ、銀色のくつわ紫白しはくの手綱。——甚内の眼は射られた。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
青粘土あおねんどみたいに沈んでいるが、まなこは鯉の金瞳きんどうのごとく、黒漆こくしつのアゴひげをそよがせ、身のたけすぐれ、よく強弓をひき、つねに持つ緋房ひぶさかざりの一そうも伊達ではないと、城内はおろか
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)