紹介ひきあわ)” の例文
「お前もおいで! 度胸がある。見せて置いてもいいだろう。……紹介ひきあわせて置こう、変った奴らを。無頼漢ならずものどもだがためにもなる奴らだ」
神秘昆虫館 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「……おう、そうそう。安房どの、亭主役じゃ。もう一方ひとかたの客をお呼びして、武蔵どのへ、紹介ひきあわせてもらいたいの」
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「じゃこの人よ。どうぞよろしくお願い申します。」お鳥は口軽にお庄を紹介ひきあわすと、やがて帰って行った。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
小林は始めて青年を津田に紹介ひきあわせた。原という姓と芸術家という名称がようやく津田の耳に入った。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その淡黄色な、がっしりとした食台の側で、捨吉は玉木さんという人にも紹介ひきあわされた。
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
何も知らない私をつかまえて、思いもかけぬ大学生に扮装させたり、美しい少女を許嫁だなぞと云って紹介ひきあわせたり、いろいろ苦心しているところを見るとドウモ可怪おかしいようである。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
和尚は又其の人に長二を紹介ひきあわして出入場でいりばにしてやろうとの親切心がありますから
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
しかし息子は、父親の神の遥々の訪れをそれと知るや、直ちに翁を家の中へ導き入れ、紹介ひきあわせたその妻もろとも下へも置かない歓待に取りかかった。そうしながら祭の儀も如才じょさいなく勤めた。
富士 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「こは鷲郎ぬしとて、いぬる日斯様々々かようかようの事より、図らず兄弟のちかひをなせし、世にも頼もしき勇犬なり。さて鷲郎この牛殿は、日頃それがしうわさしたる、養親の文角ぬしなり」ト、互に紹介ひきあわすれば。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
「なあ、お前に紹介ひきあわせておくが、」と、ソバケーヴィッチは言葉をつづけた。「この方がパーウェル・イワーノヴィッチ・チチコフさんだ! 知事や郵便局長のとこでお近附ちかづきになった人だよ。」
これは私の親戚しんせきのもので、東条綱雄と申すものです。と善平に紹介ひきあわされたる辰弥は、例の隔てなき挨拶をせしが、心の中は穏やかならず。この蒼白あおじろき、仔細しさいらしき、あやしき男はそもそも何者ぞ。
書記官 (新字新仮名) / 川上眉山(著)
あれにもやがて紹介ひきあわしょう、もうこうなった暁には源太が望みはただ一ツ、天晴あっぱれ十兵衛汝がよくしでかしさえすりゃそれでよいのじゃ、ただただ塔さえよくできればそれに越した嬉しいことはない
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
お粂は仔細ありそうに、この蒼ざめた女を紹介ひきあわした。
半七捕物帳:03 勘平の死 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
……しかし俺はまた来たよ。それは他の理由わけでもない。このお方をお前に紹介ひきあわせたいためだ。山吹! このお方はお偉い方だ!
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
と、将軍家の周囲を始め、会う人ごとに紹介ひきあわせたりして、長政も、自分と共に引き上げていた。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
……どうじゃな、ご迷惑でなくば、これへ呼んで、お紹介ひきあわせいたすが
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
亘志摩から、三宅軍兵衛とその他の者を、紹介ひきあわせると、軍兵衛も
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)