素質そしつ)” の例文
形態的けいたいてきにははちの子やまたかいことも、それほどひどくちがって特別に先験的せんけんてきにくむべく、いやしむべき素質そしつ具備ぐびしているわけではないのである。
蛆の効用 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
その一部分というのも、たとえば私が甲乙丙丁の素質そしつがあったとして、その甲乙丙丁を別々に子供達が承継し、時には増幅して承継しょうけいしている。
親は眺めて考えている (新字新仮名) / 金森徳次郎(著)
そして茲にこそ氏の作家さくかとして天稟てんびん素質そしつの尊さがあるのでせう。恐らくこの點については各人に異論いろんのない事と思ひます。
三作家に就ての感想 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
素朴そぼくに、天真爛漫てんしんらんまんに、おのおのの素質そしつに依つて、見たり、感じたり、考へたりしたことが書いてあれば、それでよろしい
解嘲 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
ねえさんはぼくかおると、すぐいじめるのだな。ぼくにだって、すこしはみとめてくれていい素質そしつがあるのだぜ。」
金歯 (新字新仮名) / 小川未明(著)
恁ういふことが出來たら、其はさぞ樂しいことだらう。併しこんなことがはたして僕等に出來るだらうか、少くとも僕等はそんなことを素質そしついうしてゐるだらうか。うして思ひもよらぬことだ。
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
博雄を見ていると、職工的素質そしつにおいてはるかに父を越えている。職工的素質とは言葉通り個々の雑技術ざつぎじゅつである。くぎを打ったり、箱を作ったり、ラジオを組んだり、電蓄でんちくを動かしたりする技術である。
親は眺めて考えている (新字新仮名) / 金森徳次郎(著)
たしかに詩人しじんになられる素質そしつがあるようだ。
笑わない娘 (新字新仮名) / 小川未明(著)