瞹眛あいまい)” の例文
自分は瞹眛あいまいな返事をして、早く立ちたいような気のする尻を元の席にえていた。そうして本棚ほんだなの上に載せてある女の首をちょいちょい眺めた。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
で、そのところついに一つことにしてしまう。まち生活せいかつするのはこのましくい。社会しゃかいには高尚こうしょうなる興味インテレースい。社会しゃかい瞹眛あいまいな、無意味むいみ生活せいかつしている。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
絶えてこれを知る者あらず。およそ人生箇々ここの裏面には必ず如此かくのごとき内情もしくは秘密とも謂ふべき者ありながら、さいはひに他の穿鑿せんさくを免れて、瞹眛あいまいうちに葬られをはんぬるためしすくなからず。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
岡田は「ええまあおかげさまで」と云ったような瞹眛あいまい挨拶あいさつをしたが、その挨拶のうちには一種うれしそうな調子もあった。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
始終しじゅう興奮こうふんして、燥気いらいらして、瞹眛あいまいなあるつことでっている様子ようす
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
お重にやり込められると、自分は無言の降意を表するごとくにあははと笑ったり、わざと短い口髭くちひげでたり、時によると例の通り煙草に火をけて瞹眛あいまいな煙を吐いたりした。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
瞹眛あいまいな約束をやめてくれと云うのもさほど不義理とは受取れない。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「そうですね」と瞹眛あいまいに受ける。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)