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眥
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めじり
ふりがな文庫
“
眥
(
めじり
)” の例文
……赤い日ざしが……青空が……白い雲が……煉瓦がユラユラとゆらめいて、次から次へと左右の
眥
(
めじり
)
へ流れ出して行った。
童貞
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
茜さんの視線が、キャラコさんの顔のうえから動かなくなったと思うと、間もなく、大きな眼の中から押し出すように涙があふれ出て来て
眥
(
めじり
)
から
顳顬
(
こめかみ
)
のほうへゆっくりと下ってゆく。
キャラコさん:11 新しき出発
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「
又
(
また
)
來
(
く
)
つかんな」とおつぎは
沈
(
しづ
)
んだ
聲
(
こゑ
)
でいつて
出
(
で
)
て
行
(
ゆ
)
くのを、
後
(
あと
)
で
卯平
(
うへい
)
の
眥
(
めじり
)
からは
涙
(
なみだ
)
が
少
(
すこ
)
し
洩
(
も
)
れて、
其
(
そ
)
の
小
(
ちひ
)
さな
玉
(
たま
)
が
暫
(
しばら
)
く
窶
(
やつ
)
れた
皺
(
しわ
)
に
引掛
(
ひつかゝ
)
つてさうしてほろりと
枕
(
まくら
)
に
落
(
お
)
ちるのであつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
若い親方の顔が急に苦々しい、
虫唾
(
むしず
)
の走りそうな恰好に
歪
(
ゆが
)
んだ。同時にその
眥
(
めじり
)
がスーッと切れ上って、云い知れぬ殺気を帯びた悪党
面
(
づら
)
に変った。
山羊髯編輯長
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
長い睫毛の間を左右の
眥
(
めじり
)
へ……ほのかに白いコメカミへ……そうして青々とした
両鬢
(
りょうびん
)
の、すきとおるような
生
(
は
)
え
際
(
ぎわ
)
へ消え込んで行くのであった。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
▼ もっと見る
切れ上った
眥
(
めじり
)
と高い鼻筋が時代めいて、どことなく苦味の利いた細長い顔が、暗い店の中からニッコリして出て来ると、男でもオヤと思う位だったので
骸骨の黒穂
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
髪毛
(
かみのけ
)
も同様に、
仮髪
(
かつら
)
かと思われるくらい豊かに青々としているのを、
眥
(
めじり
)
が釣り上がるほど引き詰めて、長い襟足の附け根のところに大きく無造作に渦巻かせていた。
復讐
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
見ると若い親方は、眼を真白くなる程
瞠
(
みは
)
って、鏡の中の吾輩の顔を凝視している。ピリピリと動く細い眉。キリキリと冴え上った
眥
(
めじり
)
。
歪
(
ゆが
)
み
痙攣
(
ひきつ
)
った唇。……吾輩の耳の蔭でワナワナと震える剃刀……。
山羊髯編輯長
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
眥
漢検1級
部首:⽬
10画
“眥”を含む語句
内眥
外眥
目眥
後眥
眼眥
睚眥