真個しんこ)” の例文
旧字:眞個
されば真個しんこの富強は決して一躍してられるべきものではない、必ずや深くその根本を培養し、その素養を確実にせねばなりません。
国民教育の複本位 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
彼の家庭は真個しんこに日本における家庭の標本なり、模範なり。彼みずから曰く、「謹んで吾が父母伯叔はくしゅくを観るに、忠厚勤倹を以て本と為す」
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
最後の一隊二百人こそはいわゆる真個しんこの主戦隊であって、盛んに山上から矢石しせきを飛ばせ、敵をして山上へ近付けしめない。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
これと共に公衆の俳優に対する愛情もまたその性質を変じて、たとへば武道荒事あらごとの役者に対してはさなが真個しんこの英雄を崇拝憧憬しょうけいするが如きものとなれり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
これは墨色判断ではなくて、真個しんこの書道の上からである。筆者がもし虚偽で書けば、そのまま字の上に現われ、似せて書けば鋳型によって流れ出ずる活字と同じく、なんら生命なきものになる。
あきれもし、怒りもし、苛立いらだちもしたりけるが、真個しんこ天真なるさま見えてことばを飾るとは思はれざるにぞ、これ実に白痴者なるかを疑ひつつ、一応試に愛国の何たるかを教え見むとや、少しく色を和げる
海城発電 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
藤田氏が真個しんこの主戦論者ならず、水戸烈公がまた真個の主戦論者ならざるは、既に世人が知る所、その嘉永六年烈公が阿部伊勢守に書を与え
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
真個しんこの富国強兵とは、単に国民の財嚢ざいのう重きのいいではない。また海陸の軍備の整えるを申すのでもない。
国民教育の複本位 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
今はこれまで! ……おおおおそれにしても死の間際に、真個しんこの謀反人を一族に持ち、恥じなきその顔を見ようとは! ——冥路よみじさわり、あら無念や! ……が、そのためこの国長
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
真個温柔郷此堤 真個しんこ温柔郷おんじゅうきょうなり つつみ
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
この点においては吉田は、真個しんこに佐久間の弟子たるにじざるなり。佐久間は、真個に吉田の師たるにじざるなり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
実は私はく知りませぬが、随分男女同権という事、ある社会に於てはあるけれども、私の言うのはそういう意味ではないので、真個しんこ富国強兵の実を挙げんとせば必ずや女子の智識を開発上進じょうしん
国民教育の複本位 (新字新仮名) / 大隈重信(著)