目刺めざし)” の例文
これをいて二十つた、にしてとをつたとをとこだて澤山たくさんなり。次手ついでに、目刺めざしなし。大小だいせういづれもくしもちゐず、したるは干鰯ひいわしといふ。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
主人をお見送りしてから、目刺めざしを焼いて簡単な昼食をすませて、それから園子をおんぶして駅へ買い物に出かけた。途中、亀井さんのお宅に立ち寄る。
十二月八日 (新字新仮名) / 太宰治(著)
飯炊きの役の源十が、かまどに薪をくべ、道具番の清七は、七輪をおこして、目刺めざしを焼く。「中学生」の俊次は、水汲み専門、流し元で、皿や茶碗を洗う。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
古市くんだりまでこうしてお調戯からかいにお下りあそばしまする、たいも売れれば目刺めざしも売れる、それで世の中は持ったものでございますね、よくしたものでございますよ。
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
元来我々同族間では目刺めざしの頭でもぼらへそでも一番先に見付けたものがこれを食う権利があるものとなっている。もし相手がこの規約を守らなければ腕力に訴えていくらいのものだ。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それが二十畳敷の二階に、目刺めざしを並べたように寝ることになっていた。
心中 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
三、四人は、馬車の外へかえる目刺めざしみたいにブラ下がった。
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しこ目刺めざし 五四・七一 二九・一八 六・二〇 九・九一
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
せてゆく目刺めざしのにがみ酒ふくむ
六百句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
俺が一人で飲んで、お前に見せておいては済まねえ、酒がいけなければさかなを御馳走しようじゃねえか。この通り、結構な肴を持って来ているんだぜ、目刺めざしだよ、目刺を大相場で買い込んで来たんだ。
豆飯に何はなくとも目刺めざし焼く
七百五十句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
蒼海そうかいの色なお存す目刺めざしかな
六百句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)