白子しらこ)” の例文
八五 土淵村の柏崎にては両親とも正しく日本人にして白子しらこ二人ある家あり。髪も肌も眼も西洋の通りなり。今は二十六、七くらゐなるべし。家にて農業を営む。
遠野物語 (新字旧仮名) / 柳田国男(著)
一、たい白子しらこ粟子あわこよりも遥かにうまし。しかも世人この味を解せざるために白子は価廉に粟子は貴し。
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
いずれにしても、肉を生身なまみで食うのが一番美味うまいのだから、素人しろうとは皮だの腸だのは食わなくてもよい。しかし、頭肉、口唇こうしん、雄魚の白子しらこは美味いから、ちりにして味わうべきだ。
河豚は毒魚か (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
昨夜は滝川一益たきがわかずますが、ここから五、六里離れたところの白子しらこの陣へ夜討ようちをかけた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
南はあたたかに、北は寒く、一条路ひとすじみちにも蔭日向かげひなたで、房州も西向にしむきの、館山たてやま北条とは事かわり、その裏側なる前原、鴨川かもがわ、古川、白子しらこ忽戸ごっとなど、就中なかんずく船幽霊ふなゆうれいの千倉が沖、江見和田などの海岸は
海異記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
八五 土淵村の柏崎かしわざきにては両親ともまさしく日本人にして白子しらこ二人ある家あり。髪も肌も眼も西洋人の通りなり。今は二十六七ぐらいなるべし。家にて農業をいとなむ。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
おかをみれば、とまり八幡やわた白子しらこ在所ざいしょ在所、いずれをみても荒涼こうりょうたるはらと化して、あわれ、並木なみきのおちこちには、にげる途中でなげすてた在家ざいかの人の家財荷物かざいにもつが、うらめしげに散乱して、ここにも
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)