痛々いたいた)” の例文
子供こどもは、日増ひましにつのる病勢びょうせいのために、手足てあしはやせて、まったくの、ほねかわばかりになって、るさえ痛々いたいたしかったのでした。
雲と子守歌 (新字新仮名) / 小川未明(著)
まあ、そんな痛々いたいたしい御様子ごようすでは、これからどこへいらっしゃろうといっても、途中とちゅうあるけなくなるにきまっています。
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
とやさしくいうと、囈言うわごとをいい続けていながらやはり貞世はそれまで眠っていたらしく、痛々いたいたしいまで大きくなった目を開いて、まじまじと意外な人でも見るように葉子を見るのだった。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
はりつめて事に従はむと思へどもあはれこのごろは痛々いたいたしかり
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
この子らがボールかつとばす音さへやま空にひびき痛々いたいたし我は
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
けれど、はるになりますと、いつしか霜柱しもばしらたなくなりました。そして、一は、ふくれあがって、痛々いたいたしそうにえたつちまでが、しっとり湿しめっておちついていました。
小さな草と太陽 (新字新仮名) / 小川未明(著)
凡て寂しく、痛々いたいたしく、草につまづき
畑の祭 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ちょうど、れかかるすこしまえでした。一ぴきのみつばちがどこからかんできて、はなうえまりました。そのみつばちはなんとなく、痛々いたいたしそうにえました。
みつばちのきた日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
先生せんせいは、案外あんがいカナリヤの痛々いたいたしいきずても平気へいきでした。
薬売りの少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)