甘藷さつま)” の例文
「そんでも俺家おらぢのおとつゝあ甘藷さつまつたなんてゆふんぢやねえぞつてつたんだ」與吉よきちびるやうな容子ようすでいつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
甘藷さつまつるもかえさねばならぬ。陸稲おかぼきびひえ、大豆の中耕ちゅうこうもしなければならぬ。二番茶にばんちゃまねばならぬ。お屋敷にしかられるので、東京の下肥しもごえひきにも行かねばならぬ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
らあうち甘藷さつまくつたなんてゆはねえんだ」甘藷さつまいもつてづ/\いつた。かれたゞうれしかつたのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
品川堀に沿うて北へあゆむ。昨日連判状を持って来た仲間なかまの一人が、かみさんと甘藷さつまを掘って居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
最早早生わせ陸稲おかぼも蒔かねばならぬ。何かと云う内、胡瓜きゅうり南瓜とうなす甘藷さつま茄子なすも植えねばならぬ。ひえきびの秋作も蒔かねばならぬ。月の中旬には最早大麦おおむぎが色づきはじめる。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
甘藷さつまくつたなんていふんぢやねえぞ」與吉よきちいましめた。勘次かんじかれ大豆畑だいづばたけちかくにとなり主人しゆじん甘藷畑さつまばたけとそれから途中とちう南瓜畑たうなすばたけがあつたので、はたけのものよりも自然しぜんにそれをつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)