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狙
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ねらひ
此の
勢に
乘じて、
立處に
一國一城の
主と
志して
狙をつけたのは、あらう
事か、
用人團右衞門の
御新造、おきみ、と
云ふ、
年は
漸く
二十と
聞く
「驚いて氣を
喪つたらしい。傷は大したことぢやない。
狙が外れて脇腹をかすられただけのことで、
膿さへ持たなきや、二た
週りもすると癒るだらう」
そこへ追つて来たおくまは岩に片足をかけて
狙を
定めて
引きがねを引くとズドーンとこだまして
筒をはなれた
弾丸は
旅人の
髪をかすつて
向うの
岩角にポーンと
当りました。
此の
勢に
乘じて、
立所に
一國一城の
主と
志して
狙をつけたのは、あらう
事か、
用人團右衞門の
御新姐、おくみと
云ふ
年は
漸う
二十と
聞く、
如何にも、
一國一城に
較へつべき
至つて
美しいのであつた。