ぎう)” の例文
「三田さんは御酒でしたね。牛肉にくですか、かしわですか。かしわの方がいゝでせう。ぎうは臭くていやだねえ。」
大阪の宿 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
なにべつこれといふ理由わけもなかつたのだけれども、——つい彼所あすこいらでぎうひたくなつただけことさ」
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
明星のゆふべはやがて月の夜となりぬ。ホテルの下に泉あり。清冽の水滾々と湧き、小川をなして流る。甕の婦人来り、牧夫来り、ぎうやう駱駝らくだ、首さしのべて月下に飲む。
僕の寝小便がなかなか直らぬので、ぎうが好い、が好い、いぬが好いなどと教へて呉れるものがあつたが、父はわざわざ町まで行つて、朝鮮人蔘にんじん二三本買つて来てくれたことをおぼえて居る。
念珠集 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
「牛鍋作るべ、ぎう好きやろ。砂糖うんといれてさ。」
(旧字旧仮名) / 室生犀星(著)
兄達五六人の若者は夜業の藁為事わらしごとが済んでからそれを煮て食つた。兄は爆発為掛のうまく行つたことを得意に話しながら、どうも少し臭くて駄目だな。ぎうよりも旨くないな。こんなことを話した。
念珠集 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)