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片々
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かたかた
ふりがな文庫
“
片々
(
かたかた
)” の例文
「そら死ぬそら死ぬそら死ぬ」と耳の
端
(
はた
)
で
囁
(
ささや
)
けば、
片々
(
かたかた
)
の耳元でも懐しい
面
(
かお
)
「もう見えぬもう見えぬもう見えぬ」
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
学士は病人の
肘
(
ひじ
)
をつかまえた。そうすると女が、いつものように肘に
縋
(
すが
)
ると見せて、
片々
(
かたかた
)
の肘をつかまえた。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
お延が礼を云って書物を
膝
(
ひざ
)
の上に置くと、叔父はまた
片々
(
かたかた
)
の手に持った小さい
紙片
(
かみぎれ
)
を彼女の前に出した。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
老人は
片々
(
かたかた
)
の足を洗ったばかりで、急に力がぬけたように手拭の手を止めてしまった。そうして、濁った止め桶の湯に、
鮮
(
あざや
)
かに映っている窓の外の空へ眼を落した。
戯作三昧
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それをね、けだるそうに、ふらふらとふって、
片々
(
かたかた
)
の
人指
(
ひとさし
)
ゆびで、こうね、左の耳を教えるでしょう。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
牝鶏を
持
(
も
)
て来た。虎吉は鳥屋を厩の方へ連れて行って何か話し込んでいる。石田は
雌雄
(
めすおす
)
を一しょに放して、雄鶏が
片々
(
かたかた
)
の羽をひろげて、雌の
周囲
(
まわり
)
を半圏状に歩いて挑むのを見ている。
鶏
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
老人は
片々
(
かたかた
)
の足を洗つたばかりで、急に力がぬけたやうに手拭の手を止めてしまつた。さうして、濁つた止め桶の湯に、鮮かに映つてゐる窓の外の空へ眼を落した。
戯作三昧
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
昔しさる所で一人の客に紹介された時、御互に椅子の上で礼をして双方共
頭
(
かしら
)
を下げた。下げながら、向うの足を見るとその男の
靴足袋
(
くつたび
)
の
片々
(
かたかた
)
が破れて親指の爪が出ている。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
結び目の
押立
(
おった
)
って、威勢の
可
(
い
)
いのが、弁慶
蟹
(
がに
)
の、濡色あかき
鋏
(
はさみ
)
に似たのに、またその左の腕
片々
(
かたかた
)
、へし曲って脇腹へ、ぱツと
開
(
あ
)
け、ぐいと握る、指と
掌
(
てのひら
)
は動くけれども、
肱
(
ひじ
)
は
附着
(
くッつ
)
いてちっとも伸びず。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
斜めに吹きかける雨を
片々
(
かたかた
)
の手に持った傘で
防
(
よ
)
けつつ、片々の手で薄く切った肉と
麺麭
(
パン
)
を何度にも
頬張
(
ほおば
)
るのが非常に苦しかった。彼は幾たびか
其所
(
そこ
)
にあるベンチへ腰を
卸
(
おろ
)
そうとしては
躊躇
(
ちゅうちょ
)
した。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
片々
(
かたかた
)
が一尺昇れば片々は一尺下がるように運命は出来上っている。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
片
常用漢字
小6
部首:⽚
4画
々
3画
“片々”で始まる語句
片々靴
片々聞