-
トップ
>
-
熱
>
-
や
や、また塗った塗った、その顔は何だい、まるで
白粉で鋳出したようだ。厚きこと
土蔵の壁に似たりよ、何の真似だろう、火に
熱けぬというお
呪詛かも知れねえ。
『
荘子』に曰く、「
至人は
神なり。
大沢焚くるも
熱くあたわず。
河漢沍れども
寒えしむるあたわず」と。また曰く、「
死生はまた大なり。しかるにこれと変ずるを得ず」
あとさき
路は歩いたり、中の馬車も人の
出入、半月ばかりの
旱続きで
熱けた砂を
装ったような東京の
市街の一面に、
一条足跡を印して
過ったから、砂は浴びる、
埃はかかる、汗にはなる