焼印やきいん)” の例文
旧字:燒印
これから戦地の方へおもむ諏訪すわ分社の禰宜が通行を自由にするためには、宿役人の署名と馬籠宿の焼印やきいんの押してある一枚の木札が必要であった。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
圭さんと碌さんは手拭てぬぐいをぶら下げて、庭へ降りる。棕梠緒しゅろお貸下駄かしげたには都らしく宿の焼印やきいんが押してある。
二百十日 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
奥から飛んで出てきた仲働きのお手伝いさんが、あわてて宿屋の焼印やきいんのある下駄げたを踏石の上に揃えた。
蠅男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
いや、まだせないものが、それに添えてある三衣袋えぶくろの中にあった。阿州普化宗院派僧あしゅうふけしゅういんはそうの印可を焼印やきいんした往来手形である。それは、身をつつんでのがれろといわんばかりな品である。
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おや、山に十の字の焼印やきいんがあるね、これおれとこ沢庵樽たくあんだるぢやアないか。金「なんだか知れませぬが井戸端ゐどばたに水がつてあつたのをこぼしてもつましたが、ナニぢきに明けてお返しまうします。 ...
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
ひどい焼印やきいん、頂戴してしまつてゐるの。
火の鳥 (新字旧仮名) / 太宰治(著)
と手にって見ると、鎌の柄に丸の中に三の字の焼印やきいんしてあるのを見て
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ひどい焼印やきいん、頂戴してしまっているの。
火の鳥 (新字新仮名) / 太宰治(著)