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濾
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こ
ふりがな文庫
“
濾
(
こ
)” の例文
但
(
ただ
)
しこれも人類の文化が進み人類の感情が進んだときどう変るかそれはわかりません。印度の聖者たちは
濾
(
こ
)
さない水は呑みません。
ビジテリアン大祭
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
又、祖國の土と太陽のあひだにながれて、幾千年の文化に
濾
(
こ
)
されて今、自分といふものの血管に脈々と生を搏つてゐるものであるといふことを。
折々の記
(旧字旧仮名)
/
吉川英治
(著)
その雨や溶けた雪は地面にしみ込み、
濾
(
こ
)
されて、此度は泉になつて湧き出し、その泉はだん/\に、谷川となり、小川となり、大河となるのだ。
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
それぞれちがった色硝子の障子で天然の色を三通りに
濾
(
こ
)
し分け、別々に撮った三つの写真版を赤黄青の三色で重ね刷りにするという趣向であって
天然色写真新法
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
それにもかかわらず、シュワルツの深沈たる美しさが、雑音に
濾
(
こ
)
されて我らの心を掴まずには措かないものがあった。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
▼ もっと見る
そういう主観の肯定が日本の地味と武者小路氏という血肉とを
濾
(
こ
)
して、今日どういうものと成って来ているか。
「愛と死」
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
南村山郡の
高松
(
たかまつ
)
には「
麻布
(
あざぶ
)
」と呼ぶごく薄手の紙を
漉
(
す
)
きます。
上
(
かみ
)
ノ
山
(
やま
)
温泉
(
おんせん
)
には遠くありません。この紙は漆を
濾
(
こ
)
すのになくてはならない紙なのであります。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
そのゆらぐ火影が、うすい垂れぎぬに
濾
(
こ
)
されて、じぶんの肩ごしに斜め上から女の顔へ落ち、その安らかな寝顔に、ちらちらと物かげを戯むれ走らせてゐるのである。
鸚鵡:『白鳳』第二部
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
初音町の往来へ向いた方の障子に鼠色の雲に
濾
(
こ
)
された日の光が、白らけた、殆ど
色神
(
しきしん
)
に触れない程な黄いろを帯びて映じている純一が部屋へ、大村荘之助が血色の
好
(
い
)
い
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
雨が止みますと取下して、硝子の瓶に相当の漏斗をさし、
濾紙
(
こしがみ
)
を敷いて静かに
濾
(
こ
)
すと、それはそれは綺麗な水が出ます。真水でいけない時に、蒸溜水の代りにそれを使うのでした。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
しかしA液とB液とを一緒に流しては、さっき云ったとおりに爆発が起るから、その前に、
濾過器
(
ろかき
)
を
据
(
す
)
えつけて、A液とB液とを
濾
(
こ
)
し分け、別々の
排流管
(
はいりゅうかん
)
に流しこまなければいけない
今昔ばなし抱合兵団:――金博士シリーズ・4――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
乳を
受
(
う
)
け
取
(
と
)
って
濾
(
こ
)
しにかけた細君も、きれの上にほこりがないのにおどろいて
箸
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
水浸けにしたパルプを充分臼で搗いてから、またそれを水に解くので、こうして一旦どろどろにしたうえ袋に入れて
濾
(
こ
)
したものを、紙の種類によるそれぞれの割合で楮に交ぜるのであった。
和紙
(新字新仮名)
/
東野辺薫
(著)
あの固形体のパルプが、ねとねとの
綿
(
わた
)
になり、乳になり、水に
濾
(
こ
)
され、
篩
(
ふる
)
われてゆく次から次への現象のまた、如何に瞬時の変形と生成とを以て、私たちを驚かしたか。この化学の魔法は。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
そこからはまるで、絹ででも
濾
(
こ
)
したかのよう、粟粒ほどの血の滲み。
人魚謎お岩殺し
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
水——
澄冽
(
ちょうれつ
)
をよしとす。
清砂
(
せいしゃ
)
、
羽二重
(
はぶたえ
)
の類をもって
濾
(
こ
)
すのである。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
雲は
陽
(
ひ
)
を
濾
(
こ
)
す、雲は陽を濾すとしようかな、白秋にそんな調子がある。
山地の稜
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
雲に
濾
(
こ
)
された日光のために
『春と修羅』
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
濾
漢検1級
部首:⽔
18画
“濾”を含む語句
濾紙
味噌濾
濾光板
濾過
濾過器
濾気器
濾過層
灰汁濾