したゝり)” の例文
人間は丁度それだ、それぎりだ、結んで、落ちて、流れるしたゝりだ。而してその束の間に一の世界を創作して、それをきてゆくひまをもつてゐる。
落葉 (旧字旧仮名) / レミ・ドゥ・グルモン(著)
されど憂ひのしたゝりかく頬をくだる汝等は誰ぞや、汝等の身にかくきらめくは何の罰ぞや 九七—九九
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
代助は其香そのにほひがうと思つて、みだれるなかに鼻をつ込んだ。椽側のしたゝりは其儘にして置いた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
吾は聽く、夜の靜寂しづけきに、したゝりの落つるをはた、落つるを。
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
代助は返事もずに書斎へ引き返した。椽側にれた君子らんみどりしたゝりがどろ/\になつて、干上ひあがかゝつてゐた。代助はわざと、書斎と座敷ざしき仕切しきりつて、一人ひとりへやのうちへ這入はいつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)