満面まんめん)” の例文
旧字:滿面
ながねむりから、いま、がさめたように、満面まんめん紅潮こうちょうそそいで、にっこりとしたものがあります。それは、純吉じゅんきちでした。
からす (新字新仮名) / 小川未明(著)
などとさゝやく言葉がちら/\若い侍の耳に入るから、グッと込み上げ、癇癖かんぺきさわり、満面まんめんしゅを注いだる如くになり、額に青筋をあらわし、きっと詰め寄り
颯然さつぜんと、ほたるくだいたような光が飛んだ。あッといった時は、それが剣であったとみる眼もくらんで、窯焚かまたきの百助ももすけひたいおさえて、ダッ——とびのき、満面まんめんしゅになって
増長天王 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
参謀長は、満面まんめんしゅを塗ったように怒張どちょうし、その爆発を、紙一枚手前で、堪えているようであった。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
しかも、満面まんめんに不敵な笑みをたたえて、挑むが如き剣尖けんさきを躍動させているから、今はもう不思議だなぞと首をかしげてはいられない。カッ! と怒りを発した源助町の天童利根太郎が
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
雪枝ゆきえ満面まんめんくれなゐそゝいで、天守てんしゆむかつてみねよりたか握拳にぎりこぶしげた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)