“済(すん)” の例文
旧字:濟
その金で借金は奇麗に済(すん)だが、その蔵書中に易経集註(えききょうしっちゅう)十三冊に伊藤東涯先生が自筆で細々(こまごま)と書入(かきいれ)をした見事なものがある。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
家捜(やさがし)までして何も見出さぬから最う吾々の役目は済(すん)だじゃ無いか、好い加減にお遑(いとま)に仕様(しよう)、さア君、さア
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
東京女の気まぐれ者にはそれで済(すん)でゆくので、三日も四日も仕事を休む、どうかすると十日も休む、けれどサアとなれば人三倍も働くのが宅(うち)の磯様(さん)だと心得ている
竹の木戸 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
紐解(ひもとき)の賀の済(すん)だ頃より、父親の望みで小学校へ通い、母親の好みで清元(きよもと)の稽古(けいこ)、生得(うまれえ)て才(さい)溌(はじけ)の一徳には生覚(なまおぼ)えながら飲込みも早く、学問、遊芸、両(ふたつ)ながら出来のよいように思われるから
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
翌朝御託(おわび)に出て昨夜は誠に失礼仕(つかまつ)りましたと陳(の)べる訳(わ)けにも行かず、到頭(とうとう)末代(まつだい)御挨拶なしに済(すん)で仕舞た事がある。是ればかりは生涯忘れることが出来ぬ。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)