浦塩うらじお)” の例文
そこでいよいよ私は、この浦塩うらじおの名物男となってしまいました。この話をしようとすると、みんなゲラゲラ笑って逃げて行くのです。
死後の恋 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
今になると残されてよかったので、あの時連れて行かれようものなら、浦塩うらじおかどこかのろうで今ごろはこッぴどい目にってる奴さ。
深川女房 (新字新仮名) / 小栗風葉(著)
今云った国際問題等に興味をつに至って浦塩うらじおから満洲にり、更に蒙古にろうとして、暫時しばし警務学堂に奉職していた事なんぞがある。
予が半生の懺悔 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
「中国だけでない。ソヴィエート露西亜ロシアも日本とはいつ戦端を開くかわからない。そうすれば浦塩うらじおから東京まで、四時間あれば襲撃できる」
空襲下の日本 (新字新仮名) / 海野十三(著)
清三は浦塩うらじおから一直線にやって来た敵の艦隊と轟沈ごうちんされたわが商船とを想像して、久しくその掛け図の前に立っていた。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
シベリア黒土地方の春を突っきって走る浦塩うらじおモスクワ直通列車の、万国寝台車では
ズラかった信吉 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
彼はある日事務室にいてじぶん某命あるめいをふくめて外へやった部下の帰って来るのを待っていた。それは浦塩うらじおから来て雑貨商を営んでいるローゼンと云う男のむすめのことをさぐらしにやったところであった。
警察署長 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
私は明日あすの朝早く、船と一緒に浦塩うらじおを引き上げて布哇ハワイの方へ行かなければなりませぬ。そうして日本と戦争を始めなければなりませぬ。
支那米の袋 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
それから僅か七十キロほど東の方に行った岐阜県の各務ヶ原かがみがはらに、これもまた陸軍の飛行連隊が二つもある。大阪附近も大丈夫だし、浦塩うらじおから来ても、これだけ固まっていればよい。
空襲下の日本 (新字新仮名) / 海野十三(著)
定州ていしゅう騎兵きへい衝突しょうとつ、軍事公債応募者の好況、わが艦隊の浦塩うらじお攻撃、旅順口外こうがいの激戦、臨時議会の開院、第二回閉塞運動、広瀬中佐の壮烈なる戦死、第一軍の出発につれて第二軍の編制
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
……ええ……そのヤングは軍艦が浦塩うらじおに着くと間もなく、このオブラーコの舞踏場へって来て、一番最初に妾をつかまえて踊り出したの。
支那米の袋 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「駄目だよ。浦塩うらじおの一粒りを十七人も並べれあ、どんな盲目めくらだって看破みやぶっちまわア」
支那米の袋 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
金や女の幽霊なら、お茶の子サイサイれ切っとるが、今度の奴は特別あつらえの日本の水雷艇みたような奴じゃ。流石さすがのバルチック艦隊も振放しかねて浦塩うらじおのドックに這入り損のうとる。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
目下西比利亜シベリアの実権を掌握しております白系露人の有力者を強大なる金力で糾合して一丸となし、極東露西亜帝国を建設し、その心臓となるべき浦塩うらじおの金融機関を米国の一手に掌握し
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
大連から清津せいしんへ抜けて、あすこから浦塩うらじおへ抜けるみちがありますから……露西亜ロシア語ならお手のものでしょう……ハラショ……済みませんがそのベルをモウ一度押して下さい。いくつでもよろしい。
焦点を合せる (新字新仮名) / 夢野久作(著)
あなたは近頃、この浦塩うらじおの町で評判になっている、風来坊のキチガイ紳士が、私だという事をチットモ御存じなかったのですね。ハハア。ナルホド。それじゃそうお思いになるのも無理はありません。
死後の恋 (新字新仮名) / 夢野久作(著)