泥塗どろまみ)” の例文
晴れた日には庭一面におしめやシャツのような物を干す、軒下には缶詰の殻やら横緒の切れた泥塗どろまみれの女下駄などがころがっている。
イタリア人 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
彼女は夫達が泥塗どろまみれになって帰宅することを予想しつつ、先刻風呂をくように命じて置いた。
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
きしうへあつまつた一たいは、それこそ滑稽こつけい觀物みものでした——とり諸羽もろは泥塗どろまみれに、動物けもの毛皮もうひ毛皮もうひ膠着くツつかんばかりに全濡びしよぬれになり、しづくがたら/\ちるのでからだよこひねつて
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
旦那だんな役所やくしよかよくつさきかゞやいてるけれども、細君さいくん他所行よそいき穿物はきものは、むさくるしいほど泥塗どろまみれであるが、おもふに玄關番げんくわんばん學僕がくぼくが、悲憤ひふん慷慨かうがいで、をんなあしにつけるものを打棄うつちやつてくのであらう。
山の手小景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
引き上げさせて見ると、すツかり泥塗どろまみれでとても乗れやしない。
元日の釣 (新字旧仮名) / 石井研堂(著)