沢瀉おもだか)” の例文
旧字:澤瀉
水色ちりめんのごりごりした地へもって来て、中身の肉体を圧倒するほど沢瀉おもだかとかんぜ水が墨と代赭たいしゃの二色で屈強に描かれている。
雛妓 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
近時沢瀉おもだか久孝氏は田児浦を考証し、「薩埵さった峠の東麓より、由比、蒲原を経て吹上浜に至る弓状をなす入海を上代の田児浦とする」
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
水浅黄に沢瀉おもだかの紋附の帷子かたびら白博多しろはかたの帯、透矢すきやの羽織は脱いで飛ばぬ様に刀の大を置いて、小と矢立だけは腰にしていた。
悪因縁の怨 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
路に沿った長い汚ないどぶには、あしの新芽や沢瀉おもだかがごたごたとえて、淡竹またけの雨をおびたやぶがその上におおいかぶさった。雨滴あまだれがばらばら落ちた。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
ここはやかたの広間であった。銀燭が華やかにまたたいている。一段高い床間には楯無しの鎧が飾ってある。——月数。日数。源太が産衣うぶぎ。八竜。沢瀉おもだか。薄金。膝丸。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
沢瀉おもだか
別後 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
鹿持雅澄かもちまさずみの古義では、「いささ群竹」を「いささかの群竹」とせずに、「五十竹葉群竹イササムラタケ」と解し、また近時沢瀉おもだか博士は「い笹群竹」と解し
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
中央の池泉は水が浅くなり、なぎさは壊れて自然の浅茅生あさじうとなり、そこに河骨こうほねとか沢瀉おもだかとかいふ細身の沢の草花が混つてゐた。
夏の夜の夢 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
沢瀉おもだかや水あほひの緑葉は、次第に多くなつて行つた。蘆荻も川楊も次第に深くなつて行つた。
ある日の印旛沼 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
伊賀の服部はっとり三河の足助あすけ矢矧衆やはぎしゅうつわものどもが、色さまざまの旗標はたじるし立て、黄や緋縅や白檀びゃくだん磨きや、啄木たくぼく花革はなかわ、藤縅や、さては染め革や柑子こうじ革や、沢瀉おもだかなどの鎧を着、連銭葦毛れんぜんあしげ、虎月毛
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)