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みなわ
ふりがな文庫
“
水沫
(
みなわ
)” の例文
暗夜の海にも
譬
(
たと
)
へようず
煩悩心
(
ぼんなうしん
)
の空に一波をあげて、
未
(
いまだ
)
出ぬ月の光を、
水沫
(
みなわ
)
の中に捕へてこそ、生きて甲斐ある命とも申さうず。
奉教人の死
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
森鴎外氏の『
水沫
(
みなわ
)
集』に至っては、一厘にも満たない僅か八毛であることを、割り算や掛け算の式によって見せてくれている。
胡堂百話
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
滝壺
(
たきつぼ
)
の
裾
(
すそ
)
の流れの一筋として白絹の帯上げの結び目は、
水沫
(
みなわ
)
の如く奔騰して、そのみなかみの
鞺々
(
とうとう
)
の音を忍ばせ、そこに大小三つほどの水玉模様が
撥
(
は
)
ねて
雛妓
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
美佐子はそれらの顔の中にわざと夫と向い側にかけて鼻のあたまを毛皮の襟巻のふかふかとした中へ埋める程にして、縮刷本の
水沫
(
みなわ
)
集を読んでいるのである。
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
かれ手を放ちていひけるは、いざ目をかの年へし
水沫
(
みなわ
)
にそゝげ、かなた烟のいと深きあたりに 七三—七五
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
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水沫
(
みなわ
)
のように、迷いはじめる、峠が高くなるだけ、白いシシウドや、黄花のハリフキが
簇
(
むら
)
がって、白い幕の中で黄色い火を
燈
(
とも
)
したように、うすぼんやりしている
谷より峰へ峰より谷へ
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
私なども自然に感化をうけ、鴎外の『
水沫
(
みなわ
)
集』など、文章のいいところを暗記していたほどであった。
故郷七十年
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
其色の中を、其処此処から白い
水沫
(
みなわ
)
のやうに、今し方点ぜられた火の煙が上へ/\と昇つて行く。
クラリモンド
(新字旧仮名)
/
テオフィル・ゴーチェ
(著)
潮
(
しほ
)
満
(
み
)
てば
水沫
(
みなわ
)
に
浮
(
うか
)
ぶ
細砂
(
まなご
)
にも
吾
(
われ
)
は
生
(
い
)
けるか
恋
(
こ
)
ひは
死
(
し
)
なずて 〔巻十一・二七三四〕 作者不詳
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
道は一苑を過ぎて、巖壁と激流との間なる
街樾
(
なみき
)
に入りぬ。その木は皆鬱蒼たる橄欖なり。これを行く間、われは早く
水沫
(
みなわ
)
の雲の如く半空に
騰上
(
とうじやう
)
して、彩虹の其中に現ぜるを見き。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
四、五日吹き続いた風の名残りが、まだ折々
水沫
(
みなわ
)
を飛ばす波がしらに現れているものの、空はいっぱいに晴れ渡って、
漣
(
さざなみ
)
のような白雲が太陽をかすめてたなびいているだけだった。
俊寛
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
もちろん、面と向って、堂々と口で打明けるんだ。……そりゃ、そうだぜ、君、いつまでもぐずぐずそんな態度を続けて行ったとしてごらん。せっかくの恋も
水沫
(
みなわ
)
のごとく消え去ってしまうのだ。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
滝なして
水沫
(
みなわ
)
さかまく宇治川に鮎釣りがてら聞くほととぎす
礼厳法師歌集
(新字旧仮名)
/
与謝野礼厳
(著)
涙川浮ぶ
水沫
(
みなわ
)
も消えぬべし別れてのちの瀬をもまたずて
源氏物語:12 須磨
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
しかし海だけは見渡す限り、はるかに
弧
(
こ
)
を
描
(
えが
)
いた浪打ち際に一すじの
水沫
(
みなわ
)
を残したまま、一面に黒ぐろと暮れかかっていた。
海のほとり
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
“水沫(水沫流人)”の解説
水沫 流人(みなわ りゅうと、1957年 - )は、広島県三原市生まれの日本の小説家。
(出典:Wikipedia)
水
常用漢字
小1
部首:⽔
4画
沫
漢検準1級
部首:⽔
8画
“水沫”で始まる語句
水沫集