母様かかさま)” の例文
旧字:母樣
母様かかさま痛いよ/\ぼう父様ととさまはまだえらないかえ、げんちゃんがつから痛いよ、ととの無いのは犬の子だってぶつから痛いよ。
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
奥様も順でいなさりやすから昨夜よんべお暇いただいて来やしたのえ、父様ととさま母様かかさまも、眼の中さあ入れたいほど様子で居なさる。
農村 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
角「実に不思議な縁だ、構わねえできやしょう、其の母様かかさまは尋ねないでもいゝ」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
常丸 ととさまの国にえ?——母様かかさま、父様の国は空天竺そらてんぢくにおぢやるのかいなあ。
南蛮寺門前 (新字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
いつぞは正気にかへりて夢のさめたる如く、父様ととさま母様かかさまといふ折の有りもやすと覚束おぼつかなくも一日ひとひ二日ふつかと待たれぬ、空蝉うつせみはからを見つつもなぐさめつ、あはれかどなる柳に秋風のおと聞えずもがな。
うつせみ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
わしがお暇いただく三日ほど前にお国の母様かかさまが、東京さあかたづいて居なさる上の娘さんげから送ってよこしたちゅうて紫蘇をこまあく切ってほした様なのをよこしなすったんですがない
農村 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
千代 今日は最勝寺さまの御会式ぢやさかいに、死んだ娘と、この子の父御ててご供養くやうしておぢやつた。さと母様かかさまきつう止めるゆゑ、つい遅うなつて、只今帰るところぢや。してお前は何処からぢやえ。
南蛮寺門前 (新字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
角「なアに母様かかさまに済まねえから身い投るだって」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)