れき)” の例文
「うまいことをいうのね、あなた御自分で買って来たのでしょう。しかし姉さんには、れきとした良人おっとがあるのよ。なぜ私に下さらないの」
恐ろしき贈物 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
老叟らうそうわらつて『さう言はるゝにはなに證據しようこでもあるのかね、貴君あなたものといふれきとした證據しやうこが有るならうけたまはりいものですなア』
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
「だが、いま訊けば、れきとした文官の細君だろうじゃないか。なにもそんな人泣かせをしないでも」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
幾許いくら大馬鹿者の貫一でも、おのれのさいが操を破るそばに付いて見てゐるものかい! 貫一と云ふれきとした夫を持ちながら、その夫を出抜いて、余所よその男と湯治に来てゐたら
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
品川四郎と云えばれきとした科学雑誌の社長様である。その品川四郎が、夕闇と群集に隠れて、泥棒みたいにあたりを見廻しながら、九段坂の石垣を抜いている。あり得べからざる光景だ。
猟奇の果 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
それよか、もつとれきとした
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)