橿鳥かしどり)” の例文
とうさんは榎木えのきばかりでなく、橿鳥かしどりうつくしいはねひろひ、おまけにそのおほきな榎木えのきしたで、『丁度好ちやうどいとき。』までおぼえてかへつてました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
ひよ橿鳥かしどり、駒鳥、岩乙鳥いわつばめ、さまざまな鳥がその恵みを礼讃し、あたりの山草や植物も、かがやかしいや花に力をみせて、世阿弥の瞳はクラクラとしてしまった。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一緒にえのきの実を集めたり、時には橿鳥かしどりの落して行った青いの入った羽を拾ったりした少年時代の遊び友達の側へ帰って行った。
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
弟はまた弟で、えのきの実の落ちた裏の竹藪たけやぶのそばの細道を遊び回るやら、橿鳥かしどりの落としてよこす青いの入った小さな羽なぞをさがし回るやら。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
お爺さんが止めるのも聞かずに、馳出かけだして行きました。この子供が木の実を拾いに行きますと、高い枝の上に居た一橿鳥かしどりが大きな声を出しまして
二人の兄弟 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
の下で橿鳥かしどりが落して行った青いの入った羽を拾ったことを思出した。栗の樹に居た虫を思出した。
岩石の間 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
そこでえのきの實を集めるばかりでなく、時には橿鳥かしどりの落して行つた青いの入つた羽を拾ひました。
その昔、郷里の山村の方で榎木えのきの実を拾ったり橿鳥かしどりの落した羽を集めたりした日のことが彼の胸に来た。思わず彼は拾い上げた桜の実をいで見て、お伽話とぎばなしの情調を味った。
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
丁度私が國に居た頃、えのきの實を拾ひに行つて其下に落ちて居た橿鳥かしどりの羽を見つけたやうに。
ひろひにきますと、たかえだうへ橿鳥かしどりがまたおほきなこゑしまして、 
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
とうさんがいそいでしたきますと、橿鳥かしどりたかうへからそれをまして
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)