横腹よこっぱら)” の例文
一郎は、ぶんぶん廻っているロータリー車のうしろを手でもって、積りつもって堤のようになっている雪の横腹よこっぱら
未来の地下戦車長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
機掌だ——にき立てられて、他の乗客とともにどやどやと階段をのぼって機の横腹よこっぱらに開いている入口をくぐる。
踊る地平線:04 虹を渡る日 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
肩でぶッつかるようにして横腹よこっぱらたいをあてた時、ようよう前足を上げたばかりまた四脚よつあし突張つッぱり抜く。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
つぎの当たった襤褸ぼろのような服は、煮しめたように色が変わり穿いている靴の横腹よこっぱらはバクバク口を開けている。小さい包を小脇にかかえ丈夫そうな杖に体を支えて辛うじて立っているらしい。
死の航海 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
手前てめえが此の山口屋善右衞門へ八十両の為換かわせを取りに来たという事を聞いちゃアのがさねえ地獄耳、手前てめえの跡を付けて来て、転んだ振りで荒稼ぎ、頭突ずつきといって横腹よこっぱらを頭でって息のとめ
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
今にその浪江という奴に出会でっくわしたら、この刀で横腹よこっぱら抉って父さまの仇ァ討たんければなんねえ、ええか、(中略)こんなに錆びているだが、このほうが一生懸命ならこれだって怨は返せる、己
パイ軍曹は、ピート一等兵の横腹よこっぱらをついた。ピート一等兵は、目を白黒した。例のことが、ばれては、たいへんだ。
地底戦車の怪人 (新字新仮名) / 海野十三(著)
横腹よこっぱらを抱えて、しょんぼりと家へ帰るのに、送って来た友だちと別れてから、町はずれで、卵塔場の破垣やれがきの竹を拾って、松並木を——少年こどもでも、こうなると、杖にすがらないと歩行あるけません。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
莫迦ばかをいうな。貴様みたいに、戦闘をはじめる途端に数値のことを忘れてしまうようじゃ、どうせろくでもない敵兵に横腹よこっぱら竹槍たけやりでぶすりとやられるあたりが落ちさ」
空中漂流一週間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
火事はなんとか片づくと思うがね。しかし困ったのは宇宙塵が本艇にぶつかって横腹よこっぱらへあけた大穴の始末だ。そこからどんどん艇内の空気がもれてしまうんだ。そうなると本艇が貯えている酸素を
三十年後の世界 (新字新仮名) / 海野十三(著)
マリ子はしきりに兄の横腹よこっぱらをつつき、邸を出ようとさいそくした。
人造人間エフ氏 (新字新仮名) / 海野十三(著)