植込うえご)” の例文
ひのき植込うえごみの所から伝わって随竜垣ずいりゅうがきの脇に身を潜めて様子をうかゞうと、なが四畳で、次は一寸ちょっと広間のようの所がありまして、此方こちらに道場が一杯に見えます。
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ところがその音が何時かりんりんという虫の音に変って、奇麗な玄関のわき植込うえごみの奥で鳴いている様になった。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
石榴ざくろの花と百日紅ひゃくじつこうとは燃えるような強い色彩を午後ひるすぎの炎天にかがやかし、眠むそうな薄色の合歓ねむの花はぼやけたべに刷毛はけをば植込うえごみの蔭なる夕方の微風そよかぜにゆすぶっている。単調な蝉の歌。
夏の町 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
庭の清潔きれいなこと、赤松の一と抱えもあるのがあり、其の下に白川御影しらかわみかげ春日燈籠かすがどうろうがあり、の木の植込うえご錦木にしきゞのあしらい、下草の様子、何やかや申分もうしぶんなく
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
知っての通り親父はごく堅いので、あの手紙を書くにも隠れてようよ二行にぎょうぐらい書くと、親父に呼ばれるから、筆を下に置いて又一行ひとくだり書き、しまいの一行は庭の植込うえごみの中で書きましたが
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
最前から森下の植込うえごみの蔭に腕を組んで様子をうかごうて居るのはの遠山權六で、さきに松蔭の家来有助を取って押えたが、松蔭がお羽振がいので、事を問糺といたゞさず、無闇に人を引括ひっくゝり、かみへ手数を掛け
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)