杜鵑ほとゝぎす)” の例文
メルルと云つて日本の杜鵑ほとゝぎすうぐひすの間の様な声をする小鳥が夜明よあけには来てくが、五時になると最早もう雀のき声と代つて仕舞しまふ。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
さるにても、按摩あんまふえ杜鵑ほとゝぎすに、かしもすべきこしを、むすめいろちようとした。わたしみづかいきどほつてさけあふつた。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
そして廣間の両側に居流れた家来たちと共に、夫人から出された「杜鵑ほとゝぎす」の題について諷詠ふうえいを競った。
句「三光さんこうの他は桜の花あかり」句「声かぎり啼け杜鵑ほとゝぎす神の森」これは先代茂木佐平治の句で
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
それ/\の氣の寓處やどりばとなつて居るのであるから、衆花は晝に開くのに、暮に及んで開くものもあり、衆鳥は曉に勇むのに、夜に入つて勇む梟や杜鵑ほとゝぎすの類も有り、羣獸は晝に出で夜に伏すのに
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
杜鵑ほとゝぎすが鳴く頃は、湿つた日もあり、燥いた日もある。
百姓日記 (新字旧仮名) / 石川三四郎(著)
はた杜鵑ほとゝぎす
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
八千八谷はつせんやたにながるゝ、圓山川まるやまがはとともに、八千八聲はつせんやこゑとなふる杜鵑ほとゝぎすは、ともに此地このち名物めいぶつである。それも昨夜さくや按摩あんまはなした。其時そのときくち眞似まねたのがこれである。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)