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ふりがな文庫
“
有卦
(
うけ
)” の例文
先づ当分は
有卦
(
うけ
)
に入つた気でゐるだらうけれども、福子の方がやがて庄造では喰ひ足らなくなつて、浮気をせずにはゐないであらう。
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
まるで、天から
授
(
さず
)
かり物のような今夜の使の話なのである。
有卦
(
うけ
)
に入るというのはこんなことだろうと独りで悦に入っていたのだ。
魚紋
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこで二人のもぐりの騎士は、京都くんだりの不良少女からひどく慇懃なもてなしを受けて、
有卦
(
うけ
)
に入つてゐるのであつた。
探偵の巻
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
「ちっとあやかりてえものでごぜえます。へえい! そんな美的がころげ込んで来るたあ、殿様も
有卦
(
うけ
)
に入りましたね」
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
ですから、あいつらは
有卦
(
うけ
)
に
入
(
い
)
ってるんでげしてね、祇園島原あたりで、無暗に持てるというから妙じゃげえせんか。
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
「こいつアいいや。とど助さん、どうやら
有卦
(
うけ
)
に入りましたね。これも、ひとえに金比羅さまのご利益」
顎十郎捕物帳:17 初春狸合戦
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「俺、ことによると
有卦
(
うけ
)
にいったかな。熱海にいるうちに講釈で大看板になっちまうかもしれねえぞ」
寄席
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
それからもう一人、周助さんといふあぶれも御座いますが、これはお孃さんを助けた人で、今のところは
有卦
(
うけ
)
に入つて居ります。何しろ、命の親は大したことですからね。
銭形平次捕物控:059 酒屋火事
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
これを
孔明
(
こうめい
)
の六曜占と名づけておる。また、
有卦
(
うけ
)
無卦
(
むけ
)
ということがある。人の年を繰りて何年より有卦に入り、何年より無卦に入ると申す。有卦は吉にして無卦は凶である。
迷信解
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
いつも
有卦
(
うけ
)
にでも入った顔付で直ぐ馳せつけまして、いよ/\池上から結婚の話でも切り出されたのかと、ひとり飲み込み顔にわたくしに対座するのには随分嫌気がさしました。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
亭主が
有卦
(
うけ
)
に
入
(
い
)
つて
従来
(
これまで
)
隠してゐた
真実
(
ほんとう
)
の
年齢
(
とし
)
を打明けると、
女房
(
かない
)
も
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「奥さん奥さん、今年はあなた
有卦
(
うけ
)
に入っていますよ。」
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
このところ、がんりき、すっかり
有卦
(
うけ
)
に入って、天下の福の神に見込まれた、この分じゃ明日の合戦も百戦百勝疑いなしと、むやみに勇み立ちました。
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それからもう一人、周助さんというあぶれもございますが、これはお嬢さんを助けた人で、今のところは
有卦
(
うけ
)
に入っております。何しろ、命の親は大したことですからね。
銭形平次捕物控:059 酒屋火事
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
庄造としては
据
(
す
)
ゑ
膳
(
ぜん
)
の
箸
(
はし
)
を取らぬ筈はなく、
先
(
ま
)
づ当分は
有卦
(
うけ
)
に入つた気でゐるだらうけれども、福子の方がやがて庄造では喰ひ足らなくなつて、浮気をせずにはゐないであらう。
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「よかろう。どう転んだって怪我はねえ。いけなきゃア、また、お土砂よ。今度なら先口よりも一段と
灼
(
いやちこ
)
だァ、驚くもんかい。……幸田節三、どうやら
有卦
(
うけ
)
に入ったな。じゃ、出かけるか」
魔都
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
百姓たちは
有卦
(
うけ
)
に入ったような昂奮の渦をまもなく
蟻
(
あり
)
のような列に変えてえんえんと山路へつづいた。その中には武者に付き添われた名和殿の奥方や小女房も交じって行ったようではある。
私本太平記:06 八荒帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
庄造としては
据
(
す
)
え
膳
(
ぜん
)
の
箸
(
はし
)
を取らぬ筈はなく、
先
(
ま
)
ず当分は
有卦
(
うけ
)
に入った気でいるだろうけれども、福子の方がやがて庄造では
喰
(
く
)
い足らなくなって、浮気をせずにはいないであろう。
猫と庄造と二人のおんな
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
八五郎はすっかり
有卦
(
うけ
)
に入って、ニヤリニヤリと思い出し笑いをしているのです。
銭形平次捕物控:227 怪盗系図
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
こうして衣裳榎へ多数の狐が集まるのは、それぞれの狐がみな官位を欲しがるからで、それと人間と一緒になって踊るのは、人間も狐も共に
有卦
(
うけ
)
に入ったのだという縁喜のよい解釈であります。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その用意のものものしいさわぎのなかで、
有卦
(
うけ
)
に
入
(
い
)
っていたのは
竹童
(
ちくどう
)
だ。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「千之助が死んで、飛んだ
有卦
(
うけ
)
に入つたのは、吉五郎とお前さんだ」
銭形平次捕物控:056 地獄から来た男
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「千之助が死んで、とんだ
有卦
(
うけ
)
に入ったのは、吉五郎とお前さんだ」
銭形平次捕物控:056 地獄から来た男
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
“有卦”の意味
《名詞》
陰陽道で七年間幸運が続くとされる年回り。
(出典:Wiktionary)
有
常用漢字
小3
部首:⽉
6画
卦
漢検準1級
部首:⼘
8画
“有卦”で始まる語句
有卦無卦