明放あけばな)” の例文
門は明放あけばなし、草履は飛び飛びに脱棄てて、片足が裏返しになったのも知らず、「阿母おっかさん阿母さん!」と卒然いきなり内へわめき込んだが、母の姿は見えないで、台所で返事がする。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
火鉢ひばちくろりてはいそと轉々ころ/\すさまじく、まだ如月きさらぎ小夜嵐さよあらしひきまどの明放あけばなしよりりてことえがたし、いかなるゆゑともおもはれぬに洋燈らんぷ取出とりいだしてつく/″\と思案しあんるれば
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
それなら何故俺の始末をしなかったろう? 此処は明放あけばなしのかつとした処、見えぬことはない筈。それに此処でこうして転がっているのは俺ばかりでもあるまい。敵の射撃はの通り猛烈だったからな。