新潟にいがた)” の例文
あけみの両親は新潟にいがたにいたが、彼女の姉が東京の三共製薬の社員にしていたので、さしあたって、その夫妻を電話で呼びよせた。
月と手袋 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
この条約によると、神奈川かながわ、長崎、函館はこだての三港を開き、新潟にいがたの港をも開き、文久二年十二月になって江戸、大坂、兵庫ひょうごを開くべき約束であった。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
松岡の手紙によると、新思潮は新潟にいがた県にまじめな読者をかなり持っているそうだ。そうしてその人たちの中には、創作に志している青年も多いそうだ。
校正後に (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
滝の白糸は越後の国新潟にいがたの産にして、その地特有の麗質を備えたるが上に、その手練の水芸は、ほとんど人間わざを離れて、すこぶる驚くべきものなりき。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ところが先生は全く方角違いの新潟にいがた県人であった。だから奥さんがもし先生の書生時代を知っているとすれば、郷里の関係からでない事は明らかであった。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
外国奉行がいこくぶぎょう竹内下野守たけうちしもつけのかみ松平石見守まつだいらいわみのかみ京極能登守きょうごくのとのかみの三にん使節しせつで、その役目やくめは、まえにやくそくしていた江戸えど大阪おおさか兵庫ひょうご神戸こうべ)・新潟にいがたでとりひきをはじめるのを
「もうすこしたつと、新潟にいがたほうから、汽船きせんがくるわ。まだ、くろけむりえやしないわ。」
北の少女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
おとねさんという名をきくと、静枝は故郷の新潟にいがた花柳界さかりばを思いだした。静枝の踊の師匠は、市川の名取りで、九代目団十郎の妹のおなるさんという浅草聖天町しょうてんちょうにいた人の弟子だった。
市川九女八 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
北陸道というのは、若狭わかさ越前えちぜん、これが福井県。加賀かが能登のと、これが石川県。越中えっちゅう、これが富山とやま県。越後えちご佐渡さど、これが新潟にいがた県。以上の七国四県であります。昔はこの地方を「こし」の国と呼びました。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
神奈川かながわ横浜よこはま)・長崎ながさき新潟にいがた兵庫ひょうご神戸こうべ)のみなとをひらくことがきめられました。