)” の例文
「お綱さんとやら、逃げる出口が見つかったら、いいと、声をかけて下さいましね、すぐに火をけて、私もそこへ行きますから」
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その女は自分の次の室の掛布に先づ火をけて、それから階下へ下りて
「……出たらすぐ火をけよ」と、たれかに命じおいたものとみえる。たちまち、黒けむりがすぐ後ろのひさしから捲きあがっていた。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あの悪人の手へ、すべての物を残してゆくよりは、お嬢様、いッそのこと、ここへ火をけてまいりましょう」
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たみは、火をけるために後へ残って、反古ほごや木屑や乱れ箱などを、手当り次第に、部屋の中ほどへ積み上げる。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
脇屋義助の本陣のあたりが、須臾しゅゆのまにぱっと赤い火光に染まってみえる。すでに火がけられたものであろう。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「火をけるな。路地ろじへ逃げこんだ雑兵などはほうッておけ。ただ町口に木戸を設けて警備に付け」
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「さい。信長が討死と聞えたなれば、すぐこの城に火をけよ。見穢みぎたのう焼け残すなよ」
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
近衛河原の主人の邸へ火をけた後、宮のお後を慕って、馳せ参じたが、何分、もう戦は後手ごてとなって守備が整わないため、そこから南都へ向おうと、僧兵をも加えて宮のお供に立ち
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
堀川べりの六条室町むろまちやかたへ、どっとせて、いきなり火をけた軍勢がある。義経は、元より何の備えもしていなかったし、その夜、郎党たちは、他の所用に出払って、あらかた留守だった。
日本名婦伝:静御前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「最期まで、よくお働きあそばして、自身、奥の丸に火をけ、御自害なさいましたが……そこへ躍りこんで来た木下勢が、忽ち、火を消し止めて、あくまで静かに、城中を掃蕩そうとうし尽しました」
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
俺たちも、どこの邸へ火をけようが、女をさらってこようが、金をかついでこようが、とがめる奴はなかったもんだが、いくさがやんで、侍が役人になって、百姓が豊年満作をむさぼるようになっちゃあ
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「火をけろ、まず、やぐら下から一面に、火をかけろ」
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その上に、寺部へ火をけたので、鷲津、丸根の敵は
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「火をけろ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)