摺合すれあ)” の例文
梓の羽織の袖に、まげ摺合すれあうばかり附着くッついて横坐よこずわりになったが、鹿爪しかつめらしく膝に手を置き、近々と顔を差寄せて
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
知り人でもあって認められては大変とおもえば思うほどに、摺合すれあう人々がじろ/\と見るような気がいたして、何うも一時間をこゝに待っていることが出来ない。
莚旗むしろはたげたのがほこらであらうもれぬ。——が、なにもとむる? ない。じつみつむれば、みぎからひだりからきざはしまへへ、ぞろ/\とつた……みの摺合すれあおとして
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
きまりも悪し、おもてを背けて店口から奥へ抜けようとすると、おなじく駒下駄を手に提げて裏口からはらりと入って来た、前日の美人とぱったり逢った。袖も摺合すれあうばかり敷居で行違ゆきちがう。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)