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拔出
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ぬけだ
と、
時々その
中から、
黒く
拔出して、
跫音を
沈めて
來て、
門を
通りすぎるかとすれば、
閃々と
薄のやうなものが
光つて
消える。
「それから、横川町の親類の家から
拔出す時も、あの男は大手を振つて出て居るぜ」
いや、
張合もなく
開くうち、「あゝ、
品川ね。」カタリと
窓を
開けて、
家内が
拔出しさうに
窓を
覗いた。「
駄目だよ。」その
癖私も
覗いた。
と
器用な
手つきで、
腹から
拔出したやうに
横衣兜の
時計を
見たが