手助てだすけ)” の例文
余所よその障子を張ってやりの筆法で芸妓げいしゃ用達ようたしから傭婆やといばば手助てだすけまでする上に、ひまな時は長火鉢の前で飼猫の毛をいている。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
尾州家から下がつたるんは二十九歳で、二十四歳になる妹の所へ手助てだすけに入り込んで、なるべくお旗本の中で相應な家へよめに往きたいと云つてゐた。
ぢいさんばあさん (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
一番年上の子も今ではだんだん働いて手助てだすけをしてくれるので、一家にとっては、はなすわけにはゆきませんでした。
その手助てだすけに坐っているお島は、仕事がいけぞんざいだと云って、どうかすると物差で伯母に手をたれたりした。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
姉が嫁したので、小学校も高等を終えずに下り、母の手助てだすけをした。間もなく彼女は肺が弱くなった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
申立るには非ず當時茂兵衞が身代あしく我等へ扶助ふぢよも難儀の樣子なり其上かく病身に相成手助てだすけもなしがたきによりせめいさゝかなりとも資本もとでたすけ度存ずるに付昔しかしたる利分と思ひ少々の金を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
尾州家から下がったるんは二十九歳で、二十四歳になる妹の所へ手助てだすけに入り込んで、なるべくお旗本のうちで相応な家へよめに往きたいと云っていた。
じいさんばあさん (新字新仮名) / 森鴎外(著)
鶴さんは、それはそれとして大事に秘めておいて、自身の生活の単なる手助てだすけとして、自分を迎えたのでしかないように思えた。ならんで電車に乗ってからも、お島はそんなことを思っていた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
情婦おんなの流れて行っている、或山国の町の一つで、しばらく漂浪の生活を続けている兄の壮太郎そうたろうが、其処そこで商売に着手していた品物の仕入かたがた、仕事の手助てだすけにお島をつれに来たのはその夏の末であった。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)