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戀人
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こひゞと
ヂュリ ほんに
氣の
毒ぢゃ、
氣分が
惡うてはなァ。したが、
乳母、
乳母や、
乳母いなう、
何卒言うてたも、
戀人が
何と
被言った?
微笑を
含みて
讀みもてゆく、
心は
大瀧にあたりて
濁世の
垢を
流さんとせし、
某の
上人がためしにも
同じく、
戀人が
涙の
文字は
幾筋の
瀧の
迸りにも
似て、
失はん
心弱き
女子ならば。
慘酷い/\
汝めには
滅されたのぢゃ! おゝ、
戀人よ!
我命よ! いや/\、
命とは
言はれぬ、
死んでしまうてゐやる
我戀人!
ロミオ や、
俺の
名を
呼ぶは
戀人ぢゃ。あゝ、
戀人の
夜の
聲音は、
白銀の
鈴のやうにやさしうて、
聞けば
聞くほどなつかしい!