おもひ)” の例文
旧字:
こたびとてもまた同き繰言くりごとなるべきを、何の未練有りて、いたづらに目をけがし、おもひきずつけんやと、気強くも右より左に掻遣かきやりけるなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
見れば路の辺の草のいろ/\、其とも分かず皆いづれも同じやうに枯れ果てゝ崩折くづほせり。珍らしからぬ冬野のさま、取り出でゝ云ふべくはあらねども、折からの我がおもひに合ふところあり。
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
なにゆゑに間は四年の音信おとづれを絶ち、又何の故にさしもおもひに忘れざる旧友と相見てべつを為さざりしか。彼が今の身の上を知らば、この疑問はおのづから解釈せらるべし。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
殿はこの失望の極放肆ほうし遊惰のうちいささおもひり、一具の写真機に千金をなげうちて、これに嬉戯すること少児しようにの如く、身をも家をもほかにして、遊ぶと費すとに余念は無かりけれど、家令に畔柳元衛くろやなぎもとえありて
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)