懇切ねんごろ)” の例文
兎も角もそのお住の得脱とくだつ成仏じょうぶつするように、仏事供養を営むが可かろうという事に一決して、一同その墓所へ参詣し、懇切ねんごろに回向した。
お住の霊 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
離れて涅槃ねはんの道に引導すべければ是より我がいほりに參られよとて夫より上新田村の無量庵へ同伴どうはんなし懇切ねんごろに弔ひければ安五郎はあつく禮を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
主人あるじはいとど不憫ふびんさに、その死骸なきがらひつぎに納め、家の裏なる小山の蔭に、これをうずめて石を置き、月丸の名も共にり付けて、かたばかりの比翼塚、あと懇切ねんごろにぞとぶらひける。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
四郎右衞門先々まづ/\引止ひきとめ下女に云付さけさかなを出し懇切ねんごろ饗應もてなして三郎兵衞を歸しけり其後三月十日に三郎兵衞二十兩加賀屋へ持參ぢさん先達せんだつての禮を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ト、懇切ねんごろに教へしかば。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
感じ懇切ねんごろ供養くやうをなして後九助の額を熟々つく/″\と見貴殿こなたは大なる厄難やくなんあり是はのがれ難きにより隨分ずゐぶんつゝしみを第一に致されよと申を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)