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悲酸
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ひさん
ふりがな文庫
“
悲酸
(
ひさん
)” の例文
此時子規は
余程
(
よほど
)
の重体で、手紙の文句も
頗
(
すこぶ
)
る
悲酸
(
ひさん
)
であったから、
情誼
(
じょうぎ
)
上何か
認
(
したた
)
めてやりたいとは思ったものの、こちらも遊んで居る身分ではなし
『吾輩は猫である』中篇自序
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ああ云う浮いた家業をする女の平生は
羨
(
うらや
)
ましいほど
派出
(
はで
)
でも、いざ病気となると、普通の人よりも
悲酸
(
ひさん
)
の程度が一層
甚
(
はなは
)
だしいのではないかと考えた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
こんな
悲酸
(
ひさん
)
な退院を余儀なくされる患者があるかと思うと、毎日子供を負ぶって、廊下だの物見台だの
他人
(
ひと
)
の
室
(
へや
)
だのを、ぶらぶら廻って歩く
呑気
(
のんき
)
な男もあった。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
倫敦塔の歴史はボーシャン塔の歴史であって、ボーシャン塔の歴史は
悲酸
(
ひさん
)
の歴史である。
倫敦塔
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その苦痛を
冒
(
おか
)
すためには、苦痛に打ち勝つだけの愉快がどこかに
潜
(
ひそ
)
んでおらねばならん。画と云うも、詩と云うも、あるは芝居と云うも、この
悲酸
(
ひさん
)
のうちに
籠
(
こも
)
る快感の別号に過ぎん。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
食う話ばかりかと思うと、また一週間絶食をしたという
悲酸
(
ひさん
)
な物語もあった。それはみんなの
糧
(
かて
)
が尽きたので、人足が村まで米を取りに行った留守中に大変な豪雨があった時の事である。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その学問や、その学問の研究を
阻害
(
そがい
)
するものが敵である。たとえば
貧
(
ひん
)
とか、多忙とか、圧迫とか、不幸とか、
悲酸
(
ひさん
)
な事情とか、不和とか、
喧嘩
(
けんか
)
とかですね。これがあると学問が出来ない。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
私には旨いものという父の言葉が
滑稽
(
こっけい
)
にも
悲酸
(
ひさん
)
にも聞こえた。父は旨いものを口に入れられる都には住んでいなかったのである。
夜
(
よ
)
に
入
(
い
)
ってかき
餅
(
もち
)
などを焼いてもらってぼりぼり
噛
(
か
)
んだ。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それをあえてしなければ立ち行かない日本人はずいぶん
悲酸
(
ひさん
)
な国民と云わなければならない。開化の名は下せないかも知れないが、西洋人と日本人の社交を見てもちょっと気がつくでしょう。
現代日本の開化
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
これを
悲酸
(
ひさん
)
なる
煩悶
(
はんもん
)
と云う。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
悲
常用漢字
小3
部首:⼼
12画
酸
常用漢字
小5
部首:⾣
14画
“悲”で始まる語句
悲
悲哀
悲惨
悲鳴
悲愴
悲痛
悲歎
悲壮
悲愁
悲劇