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思懸
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おもひが
これでも
貴下の
母樣の
何囘忌ぐらゐは
心に
覺えて
居ります
處へ、
餘り
思懸けないお
方にお
目通をいたしましたで、つい、
其處に
先に怪みし家内は彼の来りしよりもその用事の更に
思懸けざるに驚けり。貫一は不在なりしかばこの
珍き
客来のありしを知らず、宮もまた
敢て告げずして、二日と過ぎ、三日と過ぎぬ。
左右を
見定めて、
鍋を
片手に
乗らうとすると、
青森行——二
等室と、
例の
青に
白く
抜いた
札の
他に、
踏壇に
附着いたわきに、一
枚思懸けない
真新い
木札が
掛つて
居る……